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ahead femme 編集長・若林葉子のラリーへの道

それはパンドラの箱だった

“Rally Mongolia 2009”

その夢を抱くことになったのは4年前の夏だった。

2005年初夏。私は偶然、当時から本誌で付き合いのあった写真家、桐島ローランドさんが、パリ・ダカ参戦の前哨戦としてモンゴルラリーに出場するという話を耳にした。「面白そう。私も行ってみたい」。何気ないその一言でプレス参加が決まり、初めてモンゴルの地を踏んだ。以来、エントラントとしてモンゴルを走ることが私の夢となったのだった。
そしてとうとう、今年の8月。4年越しの夢を実現した。そこに至る経緯については毎号、本誌“Challenge the Rally”というコーナーでリポートしてきた。
最初は、友人でもある国際ラリーストの池町佳生さんをパートナーとして準備を始めた。4月になって富士重工業(スバル) が『FORESTER』を1台、提供してくださることになった。一見、順調であるかに思えたが、クルマの改造が進むにつれ、池町さんとの考え方のズレに悩み始める。胃が痛くなるほど悩んだ末に、自分の正直な気持ちを伝えて納得してもらい、彼と一緒 に参戦するという計画を白紙に戻した。白紙に戻したはいいが、クルマの改造は池町さんの知り合いの元で、池町さんの指示に従って進んでいる。そこから先は自分で対峙し、自分で判断しなければならなくなった。立っている土俵が違うとはこのことで、メカニックさんとは互いの“言葉が通じない”。思いだけではどうにもならない現実の壁にぶつかって、関係はこじれていく。無為に時間は流れていく。「私って、こんなに駄目な人間だったっけ」と、思えばこの時期が、もっとも辛い日々だった。

ありとあらゆる厄災が降り掛かってきたとでも言いたくなるような八方塞りの状況。そんな状況が少し好転したのは、どうにかこうにかクルマの改造が一段落した頃。
モータージャーナリストの竹岡 圭さんが、私の挑戦に共感し、自らパートナーとして手を挙げてくれたのもこの頃だった。ラリーレイドへの思いは違っても、「とことこ走って、とにかく完走しよう」という目的を共有できるパートナーだった。
新たなショップでクルマの仕上げを済ませ、船積みを終えて、ようやく落ち着いた日々を取り戻した7月。今度は、自分はドライバーであるべきか、コ・ドライバーになるべきかで考え込んでしまった。「自分で走りたい」というのが、この挑戦を始めたそもそもの動機。竹岡さんも「交代で走ろうね」と言ってくれている。だけど、運転技術は明らかに竹岡さんが上。比べるべくもない。「完走」という目標を達成するためには、信頼できる人に運転を任せた方がいい。そうして、結局、ナビゲーションに徹しようと決めたのだが、一つには「ナビゲーションが面白そう」と思えたこと。 一つには、ここにたどり着くまで余りにも大変だったから、これ以上、自分に負荷やプレッシャーを掛けることには耐えられそうもない、という気持ちもあったと思う。自分の技術が足りていない。そんな気持ちを抱えたままハンドルを握っても、きっと楽しめない。だから運転は竹岡さんに委ねよう。最後の最後で、私はドライバーの欄から自分の名前を消して、竹岡さんの名前に書き換えた。

そして、8月1日に日本を出立(しゅったつ)し、8月3日スタートラインに着くのだが、そこには意外なほど冷静な自分がいた。夢の舞台に立ち、緊張して、興奮して、自分を見失ってしまうんじゃないかと心配していたのに…。
これもまた振り返って思うに、そこに立 つまでにあまりにもたくさんのことがあり、それらのことを自分なりに越えてきて、その時すでに私はラリーの半分以上を走りきっていたのではないだろうか。だからあんなにもクールだったのではないだろうか。
実際、事の経緯を知る主催者の山田徹さんと、良き相談相手となってくださった菅原義正(※1)さんが、はからずも私に全く同じことをおっしゃった。
「若林さん、それもラリーなんですよ」。

※1 菅原義正:
パリダカ最多連続参戦の世界記録を持つ国際ラリースト。
日本レーシングマネージメント株式会社取締役会長でもある。
1960 年代よりモータースポーツの世界に入り、今なお現役ドライバーとして活躍する。
www.j-r-m.co.jpwww.teamsugawara.jp

文・若林葉子 写真・原田 淳

若林葉子

若林葉子

ahead femme 編集長
1971年大阪生まれ。立教大学文学部卒。OLを経てフリーランスに。2005年よりフリーマガジンaheadに携わり、2009年より現職。2005年7月~2006年9月まで、日経ビジネスOn Lineにて「もてるクルマ、もてないクルマ」を連載。2005年、桐島ローランド氏の2輪クロスカントリーラリー初挑戦“Beijing Ulanbaatar 2005”に同行取材し、以来、ラリーの魅力に憑かれ、今年いよいよ自身でもラリーレイドに参戦する。

Rally Mongolia 2009
8月2日(日)~11日(火)
─8etaps(ルートは未発表)

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