3月に入って吉報があった。富士重工業(スバル)が車両を提供してくださることになったのだ。
本当なら、『Rally Mongolia 2009』に参戦するに当たって、車両を何にするかは真っ先に決めなければいけないことだった。6月の船荷に向けて、改造が間に合わないからだ。急がなければいけないことは分かっていたが、トータルで掛かる費用を考えると、すぐに車両を購入することがためらわれた。
私と池町佳生さん、カメラマンとメカニック計4名のエントリーフィーと車両運搬フィーで約400万円、クルマの登録諸費用で約45万円、4人分の航空チケット約100万円。車両の改造費に少なく見積もって200万円。全部でざっと745万円。そのうえ新しいクルマを1台購入するのはさすがに難しい。そこで駄目でもともと。富士重工業にお願いに上がったのだった。 このご時勢に、「どうしてもラリーに出たいんです」という個人の思いを受け入れてくださったことに心から感謝するとともに、「あぁもうこれで本当に後戻りはできないな」と改めて思う。
ご提供いただいた車両は『FORESTER』(2.0XT)。悪路の走破性は当然のこととして、街中での普段使いに配慮された本格的SUV車である。ボディカラーは、クラックなどを見つけやすいサテンホワイト・パール、内装は眩しさを軽減できるジェット・ブラックに決まった。
企画書片手に協賛のお願いにあがっている先々で必ず聞かれるのが、「若林さん、走るんですか? すごいね」。そう、すごいんである。今の運転技術で走ろうという思い上がりが。オフロードの経験は限りなくゼロに近い。マニュアル車は一般道を普通に走れる程度。
今回の目標は、まずはナビの役割をきちんと務めること。その上で、フラットダートだけでも走りたい。走るつもりなのだが、池町さんはあまり運転させたくないと思っているはずである。当然だ。クルマを壊すに決まっているから。プロのラリーストとしての池町さんは、通常、クルマが仕上がったあとは、決して他人に運転をさせないという。必ず自分が運転し、その代わり全責任は自分で取る。なるほど、プロの世界とは厳しいものだ。そしてそれはアマチュアであっても、多分、同じこと。アクセルコントロールひとつで、クルマは壊れるときは簡単に壊れる。壊すと他人に迷惑を掛ける上に、自分で直せないのだから、「クルマを壊してはいけない」と肝に銘じて臨むべきなのだろう。
さていかにマニュアル車の練習を積むべきかと、そぞろ思案する今日この頃である。



SUBARU『FORESTER』
車幅1,800mmを超えるSUVが多い中、1,780mmのコンパクトなボディが特徴。先代『FORESTER』は後席がやや狭いと言われていたが、全席で快適な居住空間に改良されている。小回りも効き(最小回転半径5.3m)、大変見切りが良いというから、大きいクルマを敬遠しがちな女性にもお薦めできる。また全車にVDC(ビークルダイナミクスコントロール、車両挙動制御システム)が搭載されているなど、安全性能にも優れている(写真のクルマは、カメリア・レッドパールです)。
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スポンサーTシャツの販売は終了致しました。
文・若林葉子
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ahead femme 編集長
1971年大阪生まれ。立教大学文学部卒。OLを経てフリーランスに。2005年よりフリーマガジンaheadに携わり、2009年より現職。2005年7月~2006年9月まで、日経ビジネスOn Lineにて「もてるクルマ、もてないクルマ」を連載。2005年、桐島ローランド氏の2輪クロスカントリーラリー初挑戦“Beijing Ulanbaatar 2005”に同行取材し、以来、ラリーの魅力に憑かれ、今年いよいよ自身でもラリーレイドに参戦する。
Rally Mongolia 2009
8月2日(日)~11日(火)
─8etaps(ルートは未発表)

