"isola-ayumigaoka"は、ガレージ付きのコンセプトマンションとして人気が高く、キャンセル待ちの状態が続いている賃貸住宅。その設計を手掛けた 山本健太郎さんと、住まい手である佐藤丙午さんにガレージの在り方について話を伺いました
文・石井 隆 写真・茂呂幸正 text / ISHII Takashi photo / MORO Yoshitada
取材協力:Kaデザイン tel.03-5788-5313 http://homepage2.nifty.com/ka/
architect 山本健太郎さん
クルマやバイクをこよなく愛する人気建築家。個人住宅から集合住宅の設計、家具デザインまで手掛け、とくにガレージハウスの設計においては第一人者といわれる
resident 佐藤丙午さん
某自動車メーカー勤務後、アート・ライフに入社。漆塗りブランド"HEIGO"を展開し、多くのメディアに取り上げられる。キャンセル待ちの末、家族3人でisola-ayumigaokaに2年半前から入居
ガレージハウスの第一人者が考える
次なるガレージハウス
「ガレージがあればいいというのではなく、ガレージを中心にライフスタイル全般が楽しめる家を意識しました。でも、賃貸はどんな人が住むのかはわからない。ですから自分が住みたいと思う家を追求しました」と建築家の山本さん。
「ゆくゆくは自分のガレージハウスを建てたいという思いがあり、将来の参考にできればと考えていました」と語る佐藤さんは、2年半前に入居。申し込んだ当時は空きがなく、実際に入居できたのは、2年経ってからのことだった。
住み出して最初に気に入ったのが、ホビールームからガレージの眺めだったという。
「本当はもうちょっとだけ下からクルマを眺めた姿が好きなんですけどね」と笑う。アイレベルを下げるために、ホビールームに置き畳を敷いてみようとしたこともあったという。
「ガレージというと洋風のイメージですが、日本ならではのものがあってもいいんじゃないかと思います」。将来、佐藤さんは日本家屋と融合したガレージハウスを建てたいという。
「実は日本にも昔からあるんですよ」と山本さん。一例を挙げると、岩手県にある南部曲屋(ナンブマガリヤ)がそれだという。
「馬の納屋と住居がひとつになった住宅で、いわば江戸時代のガレージハウス。それを現代的にリファインして、和の考え方を取り入れていくとおもしろいんじゃないでしょうか。
たとえば最近の住宅では、床をできるだけフラットにしていくケースが多いのですが、意識的にアイレベルを変えることで、普段とは違った表情が現れるんです。
そのアイレベルの変化というのは、もともとの日本家屋にはあったもの。デザインテイストが和風になるのか、モダンになるのかは別にして、ガレージハウスに日本家屋の考え方を取り入れていくのもありだと思います」と続ける。
「今の和室は、日常的に使う空間になっていないと思うんですよ。本来の和室はもっとフレキシブルなもの。畳の上で大の字になってもいいし、柔軟体操してもいい」と佐藤さん。
「伝統には細かい"ルール"や"しきたり"もあるけれど、今の時代に合わないものもある。本来の日本家屋でいえば、180㎝という高さが基準ですが現代生活には合わない。一方で畳のように残るものもあります。そういうものを取り入れるとおもしろいかも…」
そう語る山本さんは、現在、東急電鉄と組んで新しいガレージハウスを構想中。どんな賃貸住宅になるのか、今から期待で胸が膨らむ。
isola-ayumigaoka
山本さんが東急電鉄TOP-PRIDEと初めてタッグ を組んだ物件。住まい手の佐藤さんは「各フロアに3縲鰀4段の階段があり、大勢のお客さんが来てソファが埋まると、段差に腰を掛けるんですよ。私もリビングに子供がいるときに、そこに座って話すことは多いのですが、視点の変化による楽しさがありますし、絶妙な距離感が気持ちいい」と評す
所在地:横浜市都筑区
交通:東急田園都市線「あざみ野駅」徒歩18分
構造:木造
規模:地上2階
住戸数:2戸
住戸面積:114.90縲鰀120.30㎡
賃料:要問い合わせ
設計:山本健太郎/Kaデザイン
問い合わせ先:東急電鉄TOP-PRIDE
tel.03-3461-2609 http://www.top-pride.com
左・中│ビルトインガレージは1台分だが、その後ろの中庭にもクルマを駐めることができる。前庭と合わせて3台分の駐車スペースが確保されている
右│ビルトインガレージの隣には廊下を挟んでホビールームを設置。ガレージとはフロアの高さを変えることでアイレベルに変化をもたせている
佐藤さんがプロデュースする"HEIGO"は、漆など日本の伝統技術を生かしたブランド。漆塗りのワイングラス(リーデル製)やネイルチップを展開し、高い評価を得ている
http://www.heigo.jp
東急電鉄 TOP-PRIDE
建築家と住まい手、オーナーの3者をプロデュースすることで、それぞれの想いを実現した賃貸物件を生み出すのが東急電鉄が展開するコンセプト賃貸住宅"トッププライド"。インターネット上に全物件の情報を公開したうえで、会員組織を運営。多くの住まい手と賃貸物件を結びつける。現在、新しい賃貸ガレージハウスを山本さんと計画中
問い合わせ先:トッププライド
tel.03-3461-2609
http://www.top-pride.com