世界最速から生まれた
“自由”と“反逆”の象徴
1957年。アメリカ合衆国ユタ州にある広大な塩の平原、ボンネビル・ソルトフラットで、649ccのトライアンフ製エンジンを搭載した流線型のマシンが、当時のモーターサイクルスピードの世界新記録となる時速214.5マイル(約343km/h)を樹立。この活躍に刺激され59年に生まれたのが、トライアンフ史上最も有名なモデル、T120ボンネビルだ。
続く60年代は“自由”と“反逆”の象徴として若者たちの間でバイク人気に火が付くなど、オートバイの黄金期を迎えた。なかでもBONNIE(ボニー)ことボンネビルは英・米で商業的な成功を収め、スポーツツインモデルを代表する存在となる。70年代以降は経営難により状況が一転しボニーの歴史も一度途絶えてしまう。80年代に新体制となったトライアンフは、02年、刺激的な790cc空冷パラレルツインエンジンを搭載するボニーを復活させた。ルックスやフィーリング、そして“自由”と“反逆”の香りは60年代黄金期のT120そのままに。
59年に誕生したボンネビルT120。当時人気だったタイガー110をベースに、46psのツインキャブ650cc並列2気筒エンジンを搭載。“トライアンフマフラー”とも呼ばれる独特の形状をしたキャプトンマフラーを採用
企業統合のごたごたで窮地に追いやられた70年代のトライアンフ。だがアメリカ市場向けの750ccボンネビルの生産はかろうじて続けられていた。写真は78年式のボンネビル。“ヨーロピアンスタイル”を強調している
02年に復活したボンネビル。デザインは細部にいたるまで60年代に活躍したオリジナルに限りなく近い一方で、エンジンも旧型の790ccキャブレターから865ccインジェクションになるなどメカニズムは着実に進化しつづけている