レッドウォーリアーズのシャケをフィーチャーしたアルバムを発表したUNI
ヴィヴィッドなオープンカーで各地を走り回るトラックメーカーのMACCHOこと松田泰典さんに話を聞いた
本誌を愛読してくれている諸氏はいつ頃からクルマ好きを自認したか覚えているだろうか。スーパーカーブーム当時から夢中になり、18歳になるのが待ち遠しくて仕方がなかったという人は多いだろうが、少年時代にはほとんど興味を示さなかったが大人になってから急に目覚めてしまったという人もいるはずだ。UNIのトラックメーカー、松田さんは間違いなく後者だろう。UNIの結成は96年。エレクトロビートにロート・タムやテルミンの音を重ねるスタイルのため、必然的に機材の量は膨大になる。結成後しばらくはただ「荷物が多く積めるから」という理由で軽のワンボックスやバンを選んでいたという。
「その頃はクルマに楽しみを求めていたわけではないし、別に不都合はなかったですね。でも荷物を満載したバンで全国のクラブや野外フェスを回るのはそれなりに楽しかった。当時僕が好きだったのはクルマよりもバイク。60年代の旧車が好きで学生時代からホンダのCBを乗り回していました。ただトラブルも多くて、よく坂道を押していました」
松田さんがクルマに目覚めたのは今から数年前。友人が所有していたBMW3シリーズカブリオレに乗せてもらったのがきっかけだった。それまでクルマ=荷物を積んで移動するための手段と考えていたが、快楽のためには利便性をも捨てるというまったく逆の発想で作られたクルマに衝撃を受けた。
「思い切り風を浴びながら走るのはこんなに気持ちよかったのかと。この感覚はバイクでも味わっていたはずですが、乗らなくなってずいぶん経っていたから忘れていたみたいで。これで一気に目覚めてしまい、次は絶対オープンカーに乗ろうと決めたんです」
そして2年前、アルファスパイダーを手に入れた。選んだ理由はスタイル。ピニンファリーナがデザインしたボディ、中でもフロントから斜めに切れ上がるボディサイドのキャラクターラインにヤラレてしまったそうだ。「このクルマには常識を逸脱した感覚が凝縮されている。真っ赤なインテリアもそう。他のクルマではなかなか味わえないですよね。日常の中に非日常が溶け込んでいるとでもいうのかな。たとえば買い物を終えて駐車場に帰ってくる。そのとき自分のクルマを見て『やっぱいいな』とニヤついてしまうような。それがたまらなく気持ちいいんですよ」現在もこのクルマの荷室に機材を満載にして各地を走り回っている。郊外の高速道路や野外フェス会場近くの道は空気もよく、オープンにして走るのが最高に気持ちいい。主催者からは「(新幹線などの)チケットを手配しますよ」と言われるが、九州や北海道などよほど遠方でない限りは「自分のクルマで行きたいから」と断っているそうだ。


アルファスパイダーの中で最も気に入っているのはこの内装。「最初は赤いボディにしようと思ったが、それよりもインテリアが赤というほうがより非日常的な感じがしてね」。バッグやiPodケースなどのハードなマテリアルとの相性もいい。このクルマは走行5万kmの中古車だったが、購入後2年でさらに5万kmを上積み、軽く10万kmを超えている。それでも特に不具合は出ていないそう
「ミュージシャンの中には運転中に曲のアイデアが浮かんで……という人もいると思うけれど、僕にとっては反対に音楽から離れて頭をクリアにするための大切な時間。これがあるからこそ曲作りやライヴに没頭できるんです。ニューアルバムの制作でもそうでしたね。スタジオに向かう途中で、いつも使う道からはずれて脇道に入ってみる。するとなんてことない街並みの中にすごくきれいな風景を発見したりするんですよ。そんなクルマとの“散歩”を楽しんでいました。ニューアルバムには全体を通してひとつのストーリーを盛り込んであります。だから一曲ずつはもちろん、全体の流れも楽しんでもらえるはず。自然の中から都会まで、運転中にフロントガラス越しを流れる景色にもハマる内容になっていると思います。クラブミュージックというとどうしても若い子たちのものっていう印象があるかもしれないけれど、その概念をとっぱらってほしい。そして気に入ったらぜひライヴにも足を運んでほしいですね。30代〜40代の人もたくさん来てくれていますから」
【Official HP】http://www.uniuniuniuni.com
『NEWUNDERSTAND』EVOLUTION EVOCD-002 2500円(税込)4月16日発売ギタリストにシャケ(レッドウォーリアーズ)をフィーチャーし“台風”“雷”など地球が作り出す自然現象にインスパイアされた楽曲全9曲を収録したダンスロックアルバム。壮大で躍動感あふれるサウンドはドライブミュージックとしても聴き応え十分!特にM2〜M6の展開は圧巻だ。4月5日からこのアルバムを引っさげた全国ツアーがスタート
text / TAKAHASHI Mitsuru photos / KAWADA Yoji

