たまたま現場にいた猫を抱きながら撮影に応じてくれた萩原さん
ウェスタンなスタイルからはちょっと意外なM・ベンツの2シーターで登場です
「クルマに興味を持った子供の頃、大人になったら乗りたいと思ったのが初代マスタング。真っ赤なコンバーチブルボディに白い革シート、隣にシェパードを乗せて僕はウェスタンなスタイルにテンガロンハットというのが夢でしたね。大人になってから探してみたんですよ。でも『メンテナンスが大変だし現場に遅刻することになるよ』と言われて諦めました。一昨年番組の収録でグアムを旅したときに、スタッフが現行型マスタングを用意してくれたんです。初代をほうふつさせるスタイルは最高にいいんだけれど、インテリアがあまりにも“普通”なのでがっかりだった。どうして昔のモデルのようにもっと夢のあるデザインにしなかったのだろうって……」
免許を取った萩原さんは旧車にこそ手をださなかったものの、夢をかなえるためにトランザム、カマロ、コルベットなどの2シーターコンバーチブルを数多く乗り継いできた。もちろんジーンズにブーツ、そしてテンガロンハットというスタイルも貫いた(16歳から一貫してこのファッションというから筋金入りだ!)。アメ車の魅力は大排気量エンジンならではの音と絶対的なパワー。幌を開けてこれらを味わうのは最高の気分だった。
「夜中に収録が終わってひとりでスタジオからクルマに向かう。バタンとドアを閉めたときにホッとする瞬間が好きでね。若い頃に乗ったクルマはエンジンが温まるまで動かせない。でもそうやって待っている時間があると、心にゆとりが生まれるんですよね。今はどんなクルマでもエンジンをかけたらすぐに動かせるでしょう。クルマに限らず何でも便利になったけれど、それによりゆとりがなくなってしまっている。世の中が便利になってほしいと思う反面、そうならないでくれと願う自分もいるんですよ。矛盾していますよね。このバランスはおそらく永久に取れないまま生きていくのだろうと思います」基本的に今でもアメ車が一番好きだという萩原さん。しかし利便性や耐久性などを追求した結果、面白みがなくなってしまったと嘆く。コンバーチブルに乗っていたときに何度も雨漏りを経験し、幌ではなくハードトップにしようかと考えたこともあった。そんなときにM・ベンツからSLKが登場した。
「歳もとってきたし、もう6リットルなんていうエンジンじゃなくてもいいかなって思ったんですよね。SLKならオープンの快適さも味わえるしハードトップの安心感も手に入る。メルセデスなのに値段も手ごろだったからデビューしてすぐ手に入れました。最初は真っ赤なSLK230、そしてこれが2台目のSLKです。これくらいのサイズは細い道にも入りやすいし運転も楽だからいいですね。今まで僕のクルマには乗らなかった奥さんも50歳を過ぎてからオープンカーにはまり、那須までひとりでドライブしていますよ」


これは萩原さんにとって2台目のSLK350。「アメ車に乗らなくなった今はこれくらいのサイズがちょうどよくてね」。赤が好きなので初代は赤いボディ、2台目は赤い内装を選んだ。SLKにもクルマ特有の温かみを感じるが「昔乗っていたアメ車のスポーツカーと比べると、ちょっと中途半端な感じがするんですよ。やっぱり便利性が追求されているんですよね」
インタビューが進むうちに、萩原さんの趣味であるモデルガンコレクションの話も飛び出した。萩原さんが集めているのは1800年代のアメリカ騎兵隊が使用していたもの。この頃の銃には生きるために戦うという人間の本能を掻き立てる魅力があったという。そして美術品としての美しさ、所有することへのロマンも感じるそうだ。現在の銃にはそれがない。ここはクルマにも共通する部分だ。
「そう考えると、僕が乗っていたアメ車には馬のような存在感があったのかもしれないですね。温かみがある。言い換えるなら生きているような感覚。僕は手放してしまったが、今でも修理をしながら大切に乗っている人がいるのはそんな理由からだと思います。クラシックカーファンは世界中にたくさんいる。自動車メーカーが彼らを満足させるようなものを現代に蘇らせることができたら、クルマはもっと盛り上がるはず。本気になれば絶対に作れると思うのですが……」
text / TAKAHASHI Mitsuru photos / ABE Masaya

