ワイドレンジにピュアに楽しめる
Vツインスーパースポーツ
ここ近年、KTMほど興隆著しいバイクメーカーはないのではないだろうか。KTM本社はオーストリー、ザルツブルク近郊のマッティングホーヘンにあり、1953年にバイク生産を開始した。KTMとは、KとTが創業者の頭文字であり、Mは地名に由来している。現在のKTMは92年に再建された別会社なのだが、その後は専らオフロードバイクメーカーとして、モトクロスレースで実績を残し多くのファンから支持を得てきた。
そして数年前から、グローバルなメジャーメーカーに発展するため、オンロードモデル分野への進出を開始。オフロードマシンをベースにした[スーパーモト]、オンロード寄りとした[デューク]、さらに04年秋には新開発のリッターVツイン搭載のストリートスポーツ、[990スーパーデューク]を登場させてきた。一方MotoGPの125、250での活躍も知られるところである。今やオンもオフも含めたスポーツバイクメーカーとして認知されるようになり、BMWに次ぐ欧州第二のメーカーに登り詰めるまで発展してきたのだ。
そんなKTMから今回、エポックなモデルが登場した。1190RC8である。スーパーデュークは、オンとオフの垣根を持たないKTMらしく、長めの脚を持つオールラウンダーだったが、RC8はバリバリのスーパースポーツなのだ。しかも、今年から2気筒モデルの排気量上限が1200ccとなったスーパーバイクへの参戦も考慮し、排気量1148ccの新設計エンジンを搭載している。
これが単なるレーシングレプリカかというと、決してそうではない。高いコーナリング性能をもちながら、先鋭的な印象はなくて取っつきやすい。Vツインの鼓動感やトラスフレームのしなり感など独特のフィーリングは、誰もがイメージする“バイク”そのもの。このRC8はKTMをさらに飛躍させる期待さえ覚えさせてくれる。
KTM 1190 RC8
RC8がショーデビューしたのは、03年の東京モーターショー。当初は990スーパーデュークのVツインを搭載していたが、最終的にエンジンは新設計され、セミピボットレスのトラスフレームも大きく刷新された。現地仕様の最高出力155ps、燃料なしの装備重量188kgは、国産スポーツと比べても侮れないスペックだ
メーターは高機能ながらコンパクト。上側にバーコード式タコメーターを置き、速度、オド、トリップ、水温、気温、時計などがデジタル表示される。独自のデザインのメーターは、新時代スーパースポーツを思わせる
ブレーキキャリパーは、ブレンボのラジアルマウント・モノブロック。市販品として最もハイグレードな逸品である。KTMはサスペンションにKTM傘下のWPを採用、フロントフォーク径は43φの倒立型だ