ベテランにもリターンライダーにも
大型並みの質感をもつミドルクラス

いつの間にか、バイクといえば大排気量が当たり前になった。大型二輪免許が教習所で取得できるようになったことが大きな要因だ。メーカーは「今、売れるビッグバイク作り」に躍起となり、「これからのユーザー」を育てることを忘れていたように思う。

だから、このグラディウス400ABSのようにしっかりと作り込まれた大人向けのミドルクラスのバイクがリリースされると、業界に携わる者としては手放しでうれしくなる。世の中には、普通二輪免許からバイクに乗り始めようとするビギナーもいるし、大型二輪免許を持っていないベテランもいる。あるいは今再びバイクに乗ろうとする「中免リターンライダー」も多い。

グラディウス400ABSは、兄貴分にあたるグラディウス（650㏄）の質感の高さをそのまま受け継いでいる。デザインも個性的で、まるで輸入車のようだ。女性にもアピールする洒落た雰囲気がある。大人の所有欲を満足させるクオリティだ。

走りはスポーティだが、尖っているわけではない。ビギナーでも無理なく気軽に楽しめる範疇にある。Vツインエンジンには、低回転域から独特の鼓動感がある。どの回転域でもトルクで力強くマシンを押し出してくれるので、直4のように「回転を上げなくては！」とエンジンに急かされることがない。気持ちに余裕を持ちながら、ライディングを楽しめるのだ。

ソフトなサスペンションは優しい乗り心地で、安心感が高い。適度にしなやかなパイプフレームと相まって、ハンドリングの軽快さと落ち着きのバランスは絶妙で、街乗りからワインディングまで幅広くこなせる。

いかにビッグバイクが当たり前の時代になっても、日本の免許制度が変わらない限り、普通二輪免許ユーザーに向けてしっかり作り込まれたバイクをリリースするべきだと私は思う。

スズキはこのクラスに、アメリカンと直4スポーツネイキッドをラインナップしている。さらに、より幅広いライダーに受け入れられるべく投入したのが、Vツインのグラディウス400ABSというわけだ。このバイク、メーカーとしての良心の表れと言えそうだ。

SUZUKI Web Site

従来型より0.2kg軽量化された電子制御式ABSを標準装備。雨天時や急な路面変化の際にもライダーをサポートしてくれる嬉しい装備だ

タンクからシート、フレームに至るまで流れるような流麗なデザインで統一。シート高は785㎜で足つき性を確保している。ポジションは、アップライトで快適なものとなっている

Vツインエンジンを抱えるスリムなトラスフレームを採用。リアにはリンク式モノショックサスペンションを採用。 7段階のプリロードアジャストが可能となっている